【電子帳簿保存法】電子取引について

この記事は、約10分で読むことができます。


電子帳簿保存法。事業をされている方はちらほらと耳にする機会・目にする機会が増えてきているのではないですか?
電話での営業や事業所に送られてくるFAX広告、税務署さんから届く郵送物の中など、、、

昨今、インボイス制度と並んでよく騒がれている電子帳簿保存法。
この電子帳簿保存法自体は随分と昔から存在していたのですが、令和3年度税制改正により、今後多くの事業者が対応を余儀なくされることになります。

この制度、以前のものと具体的に何が変わったのか。
自分の事業運営にどんな影響が出るのか。
このあたりの理解は進んできていますか?
 
このあたりの理解が全くないままでいると、令和6年1月1日以降、大変な思いをすることになります。

そこで今回は、電子帳簿保存法の大まかな内容説明と、
電子帳簿保存法で電子保存が義務付けられている「電子データ」の具体的な中身について解説をしていこうと思います。

今回の内容を理解することで、、、
 電子帳簿保存法のおおまかな内容が理解できる。
 電子保存が義務化される「電子データ」が何なのか理解できる。

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電子帳簿保存法とは?


昨今巷で耳にすることが増えてきた電子帳簿保存法。
正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する律」といいます。
、、、長い!!
長すぎて誰も正式名称で呼びません。
略して「電子帳簿保存法」と呼ばれています。

この法律は、平たく言えば
帳簿書類をデータ化して保存する際のルールが記された法律です。


電子帳簿保存法ですが、そもそもこの法律自体は随分と昔から存在していました。
なんと平成10年7月施行!すでに20年数年経ってます。

それがなぜ今頃になって騒がれているのでしょうか。
それは、令和3年度税制改正により、電子帳簿保存法が大きく変わったからです。

令和3年度税制改正が行われる前までの電子帳簿保存法は、
「帳簿書類は原則紙で保存しなきゃいけないけど、要件さえ満たせば、特別にデータにして保存してもいいよ。」って法律でした。

これが改正されたことで、さらに
「電子取引でやり取りしたデータは、電子データのまま保存しなさい。」という規定が追加されたのです。

そもそも事業者の方々は、請求書や領収書、契約書などの日々の取引で授受した書類を保存しておく義務があります。
そしてこの保存は紙でするのが原則です。
そこにいままでの電子帳簿保存法が「データのまま保存してもいいですよ」と特例を用意してくれていたのです。

ところが今回、電子帳簿保存法が改正されたことで、これまでは「データで保存するしないは自由ですよー」って言われていたのが、
「電子データは紙に出して保存せず電子データのまま保存しなさい!」と、一部のものについてデータでの保存が義務化されたのです。

そして今回改正された電子帳簿保存法は、すでに令和4年1月1日よりスタートしていますが、今現在は2年間の猶予期間にあります。
したがって、令和6年1月1日からは、バッチリ電子帳簿保存法にのっとった形でデータの保存をしなければならない、ということになったのです!

・電子帳簿保存法は”帳簿書類をデータ化して保存する際のルールが記された法律”。
・令和3年度税制改正により、一部のものについてデータでの保存が義務化された。

改正電子帳簿保存法の3つの大枠

令和3年度税制改正により新しくなった電子帳簿保存法では、保存帳簿書類を大きく3つに分けてルールを設けています。
 
①が、総勘定元帳などの帳簿のうち、作成から完成まで一貫してパソコン等で作成したものは、そのデータのまま保存してもいいですよ、というもの。

②が、紙の領収書や請求書は、スキャナでデータ化したものを保存しておいてもいいですよ、というもの

①と②についてはどちらも任意規定なので、今まで通り紙面のものを保存するでも良し、事務所の省スペース化のためにデータ化して保存するも良し、という規定です。

一方で③は、PDFファイルなどの電子データで授受したものは、紙に印刷するんじゃなく、データのまま保存しなさい、というもので、こちらは義務規定です

なので、たとえば取引先からPDFファイルの請求書を受領したという場合
この取引は③に該当することになりますが、PDFファイルを紙に印刷しそれを保存、
PDFファイル自体は削除してしまうと保存義務違反となってしまうわけです。


お気づきでしょうか?
これ結構大変な改正なのです。

今までは帳簿書類は全て紙で保存しておけばよかったのが、これからは
 ・すべての帳簿書類をデータで保存するか(パソコン等の電子機器の扱いに慣れていないと大変。後日紹介する保存要件を満たすのが大変。)
 ・一部の帳簿書類はデータ保存し、一部の帳簿書類は紙で保存する(保存資料が紙媒体のものとデータのものの2種類になるので、管理が大変)
といった2択を迫られることになります。
 
どちらを選択するにせよ、ほとんどの事業者の方々は不慣れな作業を強いられることとなるので、早め早めの体制作りをしておくべきです。

今回は、まずは急務で最低限の準備だけをしよう!
という趣旨のもと、③の義務規定について解説していこうと思います。

電子取引を行った場合は、電子データそのものを保存しなければならない
・令和6年1月1日以降は、紙で保存したものとデータで保存したものが混在することになる可能性がある。

電子取引/電子データ

令和6年1月1日以降、電子取引を行なった場合は、電子データそのものを保存しなければならない。
ここまでの整理ができたところで、次は、
 電子取引とは何か?
 電子データとは何か?
このあたりを紐解いていきましょう。

電子取引


電子取引とは、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引である旨、法に記されています。
また、ここでいう取引情報とは、注文書、契約書、領収書などに通常記載される事項であるとされています。
 
要するに、
紙媒体以外の方法で、見積書・注文書・契約書・納品書・請求書・領収書へ記載するような情報を送ったり受け取ったりする取引を電子取引と理解して良いと考えます。

たとえば、Amazonで工具を購入し、
領収書はAmazonのホームページ上でPDFファイルをダウンロードする。
といった取引がこれにあたります。

ここでは、「見積書…へ記載するような情報」としているので、見積書そのもののPDFファイルだけに限らず、たとえば見積書へ通常記載するような事項として見積金額のみをメールで送った場合もこれに該当することになります。
※この場合は、そのメール自体をデータのまま保存しておくことになります。

国税庁も以下のように、様々な例を示してくれているので一読しイメージをつかんでみてください。
(1)電子メールにより請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)を受領
(2)インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)又はホームページ上に表示される請求書や領収書等のスクリーンショットを利用
⑶ 電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用
⑷ クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードによる支払データ、スマートフォンアプリによる決済データ等活用したクラウドサービスを利用
⑸ 特定の取引に係るEDIシステムを利用
⑹ ペーパーレス化されたFAX機能を持つ複合機を利用
⑺ 請求書や領収書等のデータをDVD等の記録媒体を介して受領

電子データ

電子データとは、電子取引を行った際に授受した電磁的記録のことを言います。
電磁的記録とは、平たく言えばパソコン、スマートフォンなどで作成されたデータのことと解されます。

なので、たとえばパソコンで作成した納品書のPDFファイルであったり、通販サイトでダウンロードした領収書のPDFデータなどが電子データの例として挙げられます。

・電子取引:紙媒体以外の方法で、見積書・注文書・契約書・納品書・請求書・領収書へ記載するような情報を送ったり受け取ったりする取引

・電子データ:電子取引の際に授受した電磁的記録(パソコン、スマートフォンなどで作成されたデータ)のこと

電子帳簿保存法の改正は多くの人に影響がある

ここまで記事を読み進めてみて、電子帳簿保存法についてどう感じましたか?

「うちは電子取引は一切してないから電子帳簿保存法は関係なさそうだ。」
と、安心されました?
たしかに、業務を行ううえで電子データのやり取りが一切なければ、改正後の電子帳簿保存法とは無縁のまま、これまでどおり帳簿書類を紙面で保存し続けることができます。

ただ、実際には電子帳簿保存法の影響を受ける方は結構見えるのでは、と考えております。
たとえば、以下のような取引は電子取引に該当するので、その電子データをデータのまま保存しておかなければならなくなります。
 ※これまでのように紙に印刷したものを保存しておくのではダメ。

Amazonや楽天などの通販サイトで消耗品や備品を購入することがある場合

Amazonや楽天でお買い物をすると、領収書が紙面で発行されず、そのホームページ上で領収書をダウンロードしなければならないケースがあります。
 このような場合、ダウンロードしたデータそのものを保存しなければなりません。

取引先とメールで連絡をとることがある場合

メールの本文に見積金額や請求金額、注文内容などを記載すると、そのメールを保存しなければなりません。

クレジットカードの利用明細をWEB明細にして、顧問税理士には印刷した明細を渡している場合。

そのWEB明細は電子取引に該当するので、WEB明細のデータそのものを保存しておかなければなりません。


このように、電子帳簿保存法で保存義務の対象になる取引は、案外あるのではないでしょうか?
また、これまで以上にネット上での取引が盛んになることで、今後あらたに電子帳簿保存法の保存義務の対象になる取引をすることになることもあるでしょう。

令和5年度税制改正によって、一定の者に対する猶予措置が設けられ、保存方法等に関して緩和措置が取られることとなりましたが、「データ保存をしなくてもいいよ」という改正ではありません。データで保存しておく方法自体は簡単になりましたが、データ保存から逃れられる改正ではないため留意が必要です。

そう考えると、電子帳簿保存法は、遅かれ早かれほぼすべての事業者が対応しなければならないものであると言えそうです。

今回は、電子帳簿保存法の大まかな内容のご説明をしました。
単に、電子データの保存と言っても、その保存方法も法律で厳密に規定されています。
次回は、電子データの具体的な保存方法について説明をしていきます。

関連条文等 (タップして表示)

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第2条第3号
 電磁的記録 電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式(第5号において「電磁的方式」という。)で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第2条第5号
 電子取引 取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。以下同じ。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。


電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第7条
 (電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)
 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。


電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】 問2
 「取引情報」とは、取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいいます。

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